トラベル懇話会 Travel Management Club
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トラベル懇話会
『旅行産業の発展に向けての提言』要旨
 
はじめに

観光産業は、経営面では市場環境の変化に十分適合していないことからくる低収益性、人材面では産業としての体力低下が必然的に招来する人材育成の不足や良材誘致・定着の障害により、スパイラル的に地盤沈下の危機に直面している。
トラベル懇話会は窮状打開のため政策提言を行い、関係機関や旅行産業における問題認識の共有化を行うとともに、当会において‘Executive Committee’(政策実現実行委員会)を設置し、提言の実現を自ら実施していくものとする。


 
旅行産業の将来像と求められる人材類型
A.旅行産業の環境

旅行産業の環境は劇的に変化している。旅行市場は団体市場が縮減し、個人市場においてもパッケージ離れとFITの拡大が見られ、さらに消費者ニーズの多様化複雑化などにより市場対応はますます困難となっており、高いマーケティング能力による市場先取的な商品が必要となっている。 また、旅行目的が単なる観光ではなく個人のこだわりや生きがいを充足するための手段となっており、高い専門的な対応が必要となっている。

さらに、航空会社を中心としたサプライヤーとの関係も代理店的な側面は次第に希薄となり、自らの戦略に即したビジネスパートナーとしての関係づくりが求められている。   旅行業の経営では、このような環境の変化に伴い、素材単品や素材の組合せによる安価性や利便性にウエイトをおいた取引では収益の確保は至難となっており、価値創造的なナレッジを駆使した商品・サービスの造成が重要となっている。   また、インターネットの浸透は素材単品を中心に市場が大きく拡大する一方、付加価値商品の販売などでは、システム投資が販売収益につがなっていないケースも少なくなく、 e‐マーケティングの重要性が再認識される段階となっている。

 
B.求められる人材類型  

環境や市場のドラスチックな変化に商品・サービスと組織を対応させていく人的能力が極めて重要である。 まず、マーケティングで状況を分析的に的確に捉え、商品・サービスを造成する創造力・主体的責任能力・研究開発能力と市場へ商品を提供するリテール力やホスピタリィ力である。また、組織を有機的に市場に対応させていくため、チームビルディング力、リーダーシップ、マネジメント能力などが求められている。

 
アクションプランに関する提言
<<旅行業の収益性向上>>
提言1 「情報集約産業への脱皮」

○旅行業界は旅行者が求める新たな価値やニーズを充足するため、サプライヤー主導のセリング手法から消費者主導のマーケティング手法への変革が求められる。また、他産業の「共同事業者」とコラボレーションを図り、単独では提供できない新しい価値を創出するビジネスモデルを確立していくことにより、価格訴求から価値訴求へ転換することが喫緊の課題である。
○そのため、業界が共有できる「情報」ベースとして、「共同事業者」を含む関連機関との双方向性機能を持ったWebサイト「ツーリズム情報システム」の構築を提案したい。 このWebサイトは、消費者のニーズ・ウォンツに対応した素材やサービスのマッチングの場であるとともに、他業界企業と旅行会社とのコラボレーションを促進する場としても活用され得る。 尚、構築の主体は、JATAが望ましいと考える。
○旅行業界は、情報の双方向性とコラボレーションにより、「情報」ベースの集積と共有化を図り、従来からの旅行業の枠を超えて、情報集約産業への脱皮を図る必要がある。

 
<<市場拡大・喚起のための行政施策>>
提言2 「観光道州制」構想

○国内旅行と訪日外国人旅行を活性化させるため、阻害要因となる都道府県の行政区分に囚われない動きを作ることが必要であるので、まず各地方関係者は「地域観光推進機構」の活動を全国的に拡大することが望ましい。  
○これをさらに有効な活動としていくため、中央行政機関は広域な観光政策単位である「観光道州制」を導入し、この単位で必要な制度的整備を図ることが望まれる。
○「観光道州制」においては、観光庁を中心としてあるべき観光行政、施策及び体制を 構築するための「グランドデザイン」を策定し、中央政策から末端の観光行政までを連動させ、関係機関・関係者を有機的に束ねて活動を推進していくべきある。

 
<<旅行産業の人材の供給と育成はいかにあるべきか>>
提言3 「旅行・松下村(しょうかそん)塾」構想

○観光産業の骨太な経営体質と優秀な人材の育成を目指すため、業界人のマネジメント能力の開発・向上を行う必要がある。  
○これをさらに有効な活動としていくため、中央行政機関は広域な観光政策単位である「観光道州制」を導入し、この単位で必要な制度的整備を図ることが望まれる。
○当トラベル懇話会は、「旅行・松下村塾」を設立し、業界として「マネージメント」の実践的・科学的な知識の滋養や研鑽をもって、マネジメントのプロ育成を積極的に行いたい。
○「旅行・松下村塾」では、「マーケティング能力」、「組織管理能力」、「人材育成能力」を3つのコア能力として理論的・実践的なマネジメント能力の醸成を行う。また、女性の就労者が多いことを配慮して女性の就学者を積極的に確保していく。

 
提言4 「人材バンキング構想」

○労働集約産業である旅行産業においては、人材の流動性をもっと高めて人材のマッチングを活発にし、また転職者に加えて離職して業界復帰を希望する人材や経験豊かなOBやOGの方々にも活躍の場を提供できるような「人材バンク」を旅行業協会が中心となって設立することが望まれる。  
○「人材バンク」では、需給関係からだけでなく、人材の適材適所配置を目指したコンサルティング対応とともに、人材の能力開発や意欲向上を積極的に行う。    また、企業への研修派遣、インターンシップの仲介、優秀な学生の業界への誘致など多角的な人材施策を能動的に行う。
○人材の評価のひとつとして、資格・検定制度を重要度で階層化して積極的に活用していくとともに、資格・検定制度の浸透と取得を促進すべきである。

 
提言5 「現行資格制度の改革」

○「旅行業務取扱管理者」を実質的に旅行業のジェネラルなエキスパート資格とするため、国土交通省は法的な制度改革を検討願いたい。
有資格者は、日本旅行業協会が主催する「旅行業務取扱管理者資格者(ブラッシュアップ)研修」をおおむね3年に1度受講することが望ましいこと
営業所で選任された管理者となるには、過去3年以内に「旅行業務取扱管理者資格者(ブラッシュアップ)研修」を受講(終了)していること、さらに選任期間においては3年以内に受講(終了)していることを要件とすること
 
○「トラベルカウンセラー制度」を業界の中で評価される制度とし、また、有資格者が実績を積んでいく為には、下記の改革が望まれる。
トラベルコーディネーター資格は、カウンセリング能力が醸成できるようなプログラムが必要であり、また専門性の高い内容と取得コストの軽減を検討願いたい。
スペシャリスト資格は実践能力を加味するため当該地区への渡航経歴も条件とすべきであり、また取得後の知識の深耕のためのブラッシュアップ施策と取得コストの軽減を検討願いたい。

○人材の評価のひとつとして、資格・検定制度を重要度で階層化して積極的に活用していくとともに、資格・検定制度の浸透と取得を促進すべきである。

 
提言6 「教育制度の改革」

○海外旅行への関心、訪日外国人への理解及び国際人の素養育成を行うため、文部科学省は中学及び高校において「国際社会」を必須教科として、日本を含めた世界の観光地理・気候風土、文化・社会人類学(文化や社会構造からの他国や他国民理解の促進)、国際関係論(経済・政治)、宗教などを総合的に学ぶことが有効である。  

○観光関連産業の人材育成を促進するため、各大学において観光学専攻講座を積極的に    開講願いたい。また、観光学の研究を産学協同的に進めていくような、関係者の就学機会が増加するような諸制度や産業界からの寄附講座や講師派遣など積極的に行うべきである。トラベル懇話会も積極的な協力を行っていく。

 
2006年9月