トラベル懇話会 Travel Management Club
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トラベル懇話会
トラベル懇話会 2013提言 『今後望まれる旅行商品、サービス』
 

Ⅰ. はじめに

 トラベル懇話会の設立は1978年、本年で36年目を迎えた。設立から今日まで、旅行業の役割は、社会環境に伴い変化をしてきた。特に近年はIT(インフォメーション・テクノロジー)の急速な進展の影響を大きく受けている。以前は、お客様に旅先に関する情報を提供し、必要な旅行素材を代理店として販売することが、旅行業の大きな役割であったが、インターネットの普及により、お客様が自身で旅先に関する情報を大量に入手することが出来、また、旅行素材をサプライヤー直営のWEBサイトで容易に購入できるようになった今日、そのような役割は以前と比べると格段と小さくなっているのではないだろうか。

 では、そのような状況の中で、旅行業がどのような商品やサービスを提供していくことが社会から望まれるのか。
 コモディティ化している単純な素材型商品をより安く提供することも必要だが、社会環境の変化に伴い、価値観やライフスタイルが変化する中、お客様の多様なニーズにマッチした商品が十分に提供出来ているかを検証し、新しいコンセプトの商品を提供していかなければならないのではないだろうか。 
 
今後、日本では人口が減少し、かつて経験したことがない超高齢化社会が到来することや、新興国の発展と観光立国政策により訪日外国人旅行客が増加すること、またITが更に進歩していくことなどが予測されるが、そのような変化の中で、旅行業が将来果たすべき役割についても考える必要がある。

 トラベル懇話会の会員は現在130名、業種は旅行会社だけではなく、旅行に関連する業種を中心に多岐に渡っている。当会では、その特徴を活かし、様々な観点から、今後お客様に望まれる旅行商品やサービスについて、検討を重ねてきた。お客様の立場になって事前準備から購入、実際に旅行に行くまでのシーンを想定し、具体的に不満や不便を感じていることやあったらいいなと思うことについて意見交換をしてきた。

 その結果について、以下の三つのテーマに整理しまとめたので、トラベル懇話会2013政策提言として発表することとする。

 1. 今後望まれる旅行商品、サービス
 2. 旅に関する信頼出来る情報の提供
 3. 安全、安心を担保するための仕組みづくり

 ついては、その実現を目指し、会員自らがそれぞれの立場で取り組んでゆくことを宣言するとともに、会員だけでは解決することが出来ない諸課題解決のために、旅行関連施設・機関、国内外の関係省庁や関係団体等に対し、課題解決に向けての協力を依頼したい。

 

Ⅱ. 提言

1. 今後望まれる旅行商品、サービス
 単純な素材組合せ型商品については、インターネットの普及に伴い、品揃え的にも、価格的にも近年かなり充実をしてきている。しかしながら、個人の多様化したニーズにマッチする商品については、まだまだ品揃えが十分ではない。加えて、超高齢化社会の到来や新興国の発展と観光立国政策による訪日外国人旅行客の増加等、将来の変化も見据え、今後、社会から特に必要とされると考えられる商品やサービスについて以下にまとめた。

ユニバーサル・ツーリズムの推進 
 
現在日本では、通称アクティブ・シニアと呼ばれる比較的元気な高齢者を対象にした旅行商品は確実に増えているが、要支援・介護者を含め、体の不自由な方を対象にした旅行商品やサービスはまだまだ少ない。しかしながら、今後ますます高齢化が進み、現在約500万人と言われる要支援・介護者は2030年には800万人に達すると予測されている。そのような状況の中、旅行業の役割として、ユニバーサル・ツーリズムへの取り組みを強化していかなければならない。
  また、ユニバーサル・ツーリズムの推進にはインフラの整備が必要であるため、旅行関連施設・機関、関係省庁、関係団体等に対し、協力を要請する必要がある。加えて、要介護者の旅行には不可欠な介護者に対する割引制度等についても検討を依頼したい。

■SIT(スペシャル・インタレスト・ツアー)の拡充
 個人の価値観やライフスタイルの変化に伴い、一般的な観光だけではなく、スポーツや文化などの趣味や特別な体験などを目的として旅行をする人が増えている。趣味の中には比較的旅行と結びつき易く参加人口が数百万人以上と大きいものも少なくない。スポーツ分野では登山、トレッキング、釣り、サイクリングなど、 また、文化分野では写真撮影や美術・音楽鑑賞などが挙げられる。国内旅行の場合、趣味に関する手配は旅行者自身で行うケースが多いが、海外旅行の場合には、旅行会社への依存度が高い。しかしながら、テーマ性の高い商品造成には専門的な知識が必要なため、現状は品揃えが不十分であり、お客様により魅力を感じてもらう旅行商品を増やすためには、更に専門的な商品造成に取り組んでいく必要がある。

 一方でテーマ性の高い魅力的な商品を提供するためには、そのための旅行素材確保が前提となるが、現状の旅行業約款の企画旅行に関する取消料規定ではカバーが出来ないものが増えている。無理やり商品化する場合には、手配旅行と企画旅行が混在する形となり、かえってお客様の不利益となるため、関係省庁に改正のための協力を要請したい。
 加えて、LCCなど現在、旅行会社が企画商品に組み入れづらい素材についても、利用出来るよう協力をお願いしたい。

品質の高い訪日外国人旅行コンテンツの提供
 新興国の発展と観光立国政策により訪日外国人旅行客は今後増加していくことが予測されるが、順調に伸張させるためには観光立国推進基本計画にもあるように、訪日外国人旅行者の満足度を高めなければならない。日本ブランドを高められるような良質なサービスを提供出来れば、リピーターの増加が見込まれる。質が低ければ、その逆だ。良質なサービスの提供のためには、本年より実施されたツアーオペレーター品質認証制度を推進していくことに加えて、訪日外国人旅行の取扱いに対する法的な規制について関係省庁に検討を依頼する必要がある。現在何ら規制がないために品質を担保することが難しくなっているからだ。

2. 旅に関する信頼出来る情報の提供
 近年、インターネットの普及によりお客様は旅先や旅行素材に関する情報を以前と比較して格段に大量に収集出来るようなった。しかし、その反面、情報過多や情報ソースに関する信憑性の問題もあり、お客様が信頼出来る情報を選別することが容易ではなくなっている。そのような状況の中、お客様が旅行業界に望むことは、旅のプロとして公正な情報を発信することや、自分のニーズにマッチした商品の選択が困難になっているお客様に対し適切なアドバイスをすることではないだろうか。そのためには、お客様を上回る最新かつ正しい情報を収集し、提供出来る体制をつくることが急務である。
 加えて、様々なサイトに散らばっている旅行に関する膨大な情報の中から、信頼出来るものを選別し一箇所に集めて利用しやすくすることが出来れば、お客様にとって非常に有用であるため、その取り組みについて公正な立場にある関係団体に要請をしたい。特に安全に関連する情報については必須だと考える。更に加えて、インターネットの利用環境整備をお願いしたい。これにより、外国人の旅行者も最新の情報収集が可能となり、危険回避も役立つことで、世界中の人々が安心して旅を楽しむことができることになることから、日本国内のみならず、世界中に無料Wi-Fi環境の整備・充実を声を大にお願いしたい。

3. 安全、安心を担保するための仕組みづくり
 昨今、国内外で日本人旅行者の事故が発生しているが、旅行中の安全確保は旅行者にとって最も大切な事項であることを再認識する必要がある。そして、安全確保と万が一事故が発生した場合のリスク軽減の取り組みを一層強化していかなければならない。
 また、その前提として、旅行会社と実際にサービスを提供する旅行関連施設・機関、それぞれの責任の範囲や旅行の契約形態による責任の違い等を整理し、お客様にわかり易く伝達する必要がある。そうすることにより、旅行会社とサービスを提供する旅行関連施設・機関、それぞれが取り組むべき事項が明確になるとともに、旅行者自身が自己責任の範囲を認識することで、保険等により自身で事故が発生した場合のリスクを軽減することが出来る。

 旅行中の安全確保に加え、近年重要になってきているのが、旅行商品をインターネットで安心して購入出来る仕組みづくりだ。インターネットを利用した旅行商品販売については、同様の商品でも販売する企業の業態により、契約の条件が異なることがある。例えば、宿泊素材商品を日本の旅行会社(募集型企画旅行として販売)、インターネットサイト運営会社、海外のOTA(オンライン旅行会社)で購入した場合、適用される法令等が異なり、同じ宿泊施設であっても設定出来る取消料や旅行中に事故が発生した場合の補償などが異なるが、多くのお客様はその違いを知らない。また、万が一購入先の企業が倒産した場合の対応についても同様だ。今後ますます、インターネットでの取引のグローバル化が進むことが見込まれるので、お客様保護の観点から契約条件等について早急に検討してもらうことを関係省庁・関係団体に要請したい。

 安心して購入してもうためには、わかりやすいことも大切だ。そのような観点から早急に取り組むべきは燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の撤廃だ。燃油サーチャージは200412月に燃油価格の異常な変動に対応するために導入された付加的な運賃だが、お客様にとっては非常に分かりにくいものとなっている。特に方面によっては付加運賃であるにも関わらず、本体運賃を上回るようなケースも出てきていて、お客様に混乱をもたらしている。2010年に国際航空運賃が上限認可制へと緩和され、柔軟に運賃の設定が可能になったことを踏まえ、本体運賃と燃油サーチャージを一本化することに、関係省庁と航空会社の理解と協力を得たい。

201396日 トラベル懇話会

 
過去に発信した提言
『旅行産業の発展に向けての提言』